ブロックチェーンといえば、Bitcoinなどの仮想通貨やNFTなどのデジタルコンテンツの所有権の流通基盤として広く普及していますが、2023年ぐらいから、Web3認証というWebサイトなどのアクセス権に使用する方法が普及してきています。
具体的には特定のNFTを持っている人のみがアクセスできるWebサイトや電子チケットなどへの応用などです。NFTの所有による認証手段は、会員登録が不要となることや、友人や家族などに譲渡できるなどのメリットがあり、Webサイトの認証手段として今後広く普及することが予想されています。
NFTなどは「トークン」とも呼ばれますが、トークンの流通は、発行(mint/issue)、譲渡(transfer)、および焼却(burn)の3つの主要なトランザクションによって所有権が付与、譲渡、消去されます。これらのトランザクションを実行するには、アプリケーションに応じてさまざまな条件を満たす必要があります。例えば、認定された店舗だけがトークンを発行でき、特定の代理店だけが譲渡が許されるなどです。
私はWeb3認証を広く普及させるためには、このようなトークンの流通を柔軟に制御させるための仕組みが必要であると考えています。そして私は、このようなトランザクションの実行権限を制御するために、(別の)制御トークン(control token)を使用することを提案しています[ERC7303]。制御トークンとは、NFTなどのトークンであり、取引参加者によってこれらの指定されたトークンを所有している場合にのみ、ターゲットとなるトークンを発行、譲渡、または焼却可能となるように制御するものです。これらの制御トークンは、アプリケーションによって、社員証や会員証など、様々なトークンが指定されます。そして、それらの制御トークン自体も同じくブロックチェーン上で再帰的に流通を制御することができます。
より詳しい説明はこちらに書きましたので参照ください。「トークンによるトークンの流通制御」のオリジナルアイデアは、私がBlockchainやEthereumが存在していなかった1999年にDigital-Ticket-Controlled Digital Ticket Circulation, USENIX Security Symposiumで発表したものです。2023年にEthereumプラットフォーム上で簡単に実現できることに気が付き、ERC7303を出版しました。
藤村