2025年度 卒業研究発表会
by fujimura
卒業研究発表会AIブロックチェーン
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報告が遅くなりましたが、2026年3月に卒業した藤村ゼミの13回目の卒業生の卒業研究発表会は1月26日に行われました。
今年は13名13組の学生が以下のタイトルで発表しました(うち1組は発表会当日ではなく、後日個別に発表しました)。今年はAI活用のテーマが9件、デザイン支援のテーマが2件、ブロックチェーン活用のテーマが2件となりました。
AI活用テーマ
- LLMと画像処理によるニュース記事の漫画化
本研究では、ニュース記事を入力として、文字を含まない漫画画像を自動生成するシステムを構築しました。LLMで記事の要約と漫画構成案(JSON形式)を生成し、画像生成AIで漫画画像を生成した後、OpenCVでコマ数や吹き出し数を検出して構成案との一致度を判定します。構成案の形式を厳格にするだけでは安定した構成制御は難しく、生成結果を検証・選別する後処理を導入することで一致度が大きく改善することを示しました。 - LINE履歴の分析による人間関係円滑化支援システム
本研究では、LINEの会話履歴をLLMで分析し、性格傾向や価値観を推定してコミュニケーション改善のアドバイスを受けられるWebアプリケーションを開発しました。履歴分析、20項目のパラメータによる価値観分析レポート、分析結果を踏まえた対話型チャットボットの3つの機能で、「分析→理解→対話による内省」という段階的なプロセスを支援します。一般論ではなくその人に特化した率直な助言を行うことを重視し、AIによる対人理解支援の新たな方向性を示しました。 - AIを活用したパーソナライズ型学習支援システム
本研究では、ITパスポート試験対策を題材に、生成AI(Gemini API)で自己調整学習のサイクルを包括的に支援するWebアプリケーションを構築しました。学習者のレベルや確保できる学習時間から個別の学習プランを生成し、過去問演習の解答ログと自由記述の振り返りの両面をAIが分析して、次回の学習計画をリアルタイムに調整します。成績だけでなく振り返りから読み取れる心理的な側面を考慮した「学習の伴走者」として、学習意欲の維持に寄与することを確認しました。 - AIによる三河弁の再現と継承に関する研究
本研究では、話者の減少により継承が課題となっている愛知県東三河地域の方言「三河弁」を対象に、生成AIによる方言再現の可能性を検討しました。三河弁の文末表現や語用的特徴を整理したコーパスを作成し、それに基づいて話者設定や使用場面を明示したシステムプロンプトを設計して、ChatGPTとGeminiの生成結果を自然性や誤用の有無などの観点から評価しました。方言を構造化された知識として生成AIに与えることで再現の可能性を高められる一方、文脈理解を伴う文末表現の選択には課題が残ることを明らかにしました。 - マルチエージェントシステムによる生成AIのハルシネーション抑制
本研究では、LLMが事実と異なる情報を生成するハルシネーションのリスクをリアルタイムに検知・可視化し、ユーザーの批判的思考を促すシステムを提案・実装しました。回答を行う「生成役」と、その内容を批判的に検証する「監査役」の役割を分離し、監査役がOpenAI APIのJSONモードで不確実な箇所を構造化データとして抽出します。検出結果は「捏造」「事実誤り」「文脈逸脱」の3種類に分類し、ISO安全色に基づく色と線種によるインライン表示とマウスホバーによる判定根拠の提示によって、AIへの過信を抑制するデザイン指針を示しました。 - 物体認識機能を有するARアバターとの会話システム
本研究では、Webブラウザ上で動作する物体認識機能を持つAIと3Dアバターを統合し、ユーザーの現実世界の文脈を認識した会話システムを開発しました。Three.jsでカメラ映像の上に3Dアバターをリアルタイムに描画し、チャット送信時にその瞬間のカメラ映像をキャプチャしてテキストと同時にGemini APIへ送信することで、映像内の物体や状況を踏まえた応答を生成します。専用アプリ不要のWebARとして手軽さと高度な認識機能を両立し、教育や観光など多様な分野への応用可能性を示しました。 - AI連携型ごっこ遊び支援システムの提案
本研究では、生成AIによる動的な応答とIoTセンサによる実世界情報を統合し、人形を「近づける・話す・離す」という子どもの自然な行為をきっかけに対話が続く、お店屋さんごっこの支援システムを開発しました。人形に組み込んだmicro:bitのBLE信号をobnizで受信し、RSSIの移動平均から来店・退店を判定します。会話はWeb Speech APIによる音声認識・音声合成と生成AIによる店員役の応答で行い、注文や会計はブラウザ側のルールベース処理で確定させることで、価格の揺れを抑えつつ遊びとしての自然な対話の継続を実現しました。 - AIによるバレエ指導の可能性の比較検証
本研究では、AIがバレエ指導において人間の教師をどの程度代替しうるかを検証するため、動画からのキーフレーム抽出と複数のAIモデルへの並列分析リクエストを行う動作分析システムを構築しました。静止画・動画・ライブ形式で比較した結果、解剖学的な専門用語を用いた静止画分析にはGemini 2.5 Pro、動作の連続性を捉える動画分析にはGemini 2.5 Flash、即時フィードバックにはChatGPTの音声機能が適していることが分かりました。AIは指導者を補完しうるものの、指導目的に応じたモデル選定が不可欠であると結論づけました。 - LSTMを用いたBitcoin価格方向予測モデルの構築(後日、個別に発表)
本研究では、価格変動の大きいビットコインを対象に、LSTMモデルで翌日の価格が上昇するか下落するかを予測する二値分類モデルを構築し、その有効性と限界を検証しました。終値と出来高に加え、RSI、MACD、ボリンジャーバンドなどのテクニカル指標を入力特徴量とし、比較手法としてARIMAおよびARIMAXによる数値予測も実施しました。LSTMのAccuracyは約74%でしたが、混同行列の分析からほぼすべてのデータを「上昇」と予測していることが分かり、クラス不均衡が評価指標に大きく影響すること、価格履歴とテクニカル指標のみでは短期の方向予測は難しいことを明らかにしました。
デザイン支援テーマ
- アナログ画材混色支援アプリの開発
本研究では、勘や経験に依存しがちなアクリル絵の具などのアナログ画材の混色を、色彩科学と計算機科学で支援するアプリケーションを開発しました。撮影したパレット画像からK-Means法で手持ちの絵の具の色を自動抽出し、光の吸収と散乱を考慮したクベルカ・ムンク理論に基づいて、目標色との色差が最小となる混合比率を数理最適化で算出します。被験者実験では、本システムを使った初心者が、システムを使わない熟練者よりも高い再現精度と約3倍の作業速度を達成しました。 - 模様を生成するコードの結合によるパターン生成
本研究では、単一のアルゴリズムによる模様生成にとどまらず、異なる和柄の生成コードを組み合わせて新たなデザインを生み出す手法を提案しました。p5.jsで6つの基本的な和柄を独立した描画アルゴリズムとして実装し、各模様の基本単位と周期構造を解析して周期を一致させたうえで、前景と背景のレイヤー構造、色相のコントラスト、重なり部分のみを選択的に塗り分ける手法によって融合します。伝統文様をアルゴリズムとして再解釈することで、規則性を保ったまま多様な表現を生成できることを示しました。
ブロックチェーン活用テーマ
- ゲーム実績に基づくNFT発行機能を有する限定コミュニティの実現
本研究では、Steamのゲーム実績を達成したユーザーのみが参加できる、実績認証型の限定コミュニティをDiscord上に構築しました。アイキャッチ画像のシステム構成図の通り、ユーザーはDiscordでコマンドを送信するだけでNFTを発行でき、Collab.Landを介してMetaMaskで署名することでNFTの所有が確認され、条件を満たしたユーザーにロールが付与されて限定コミュニティに参加できます。NFTの発行から認証までをDiscord上で完結させることで、NFTの操作に不慣れな人でも利用できる信頼性の高いコミュニティを実現しました。 - 分散ファイルシステムによるデータ公証システム
本研究では、MetaMaskの署名機能を用いて機密文書を暗号化してIPFSに保存することで、特定の時刻に文書が存在したことを証明できるデータ公証システムを開発しました。MetaMaskには暗号化APIがないため、特定のSaltデータへの署名からマスター鍵を導出する独自の鍵生成手法を考案し、ファイルごとの共通鍵をマスター鍵で暗号化する鍵ラッピングで安全性を高めています。秘密鍵や平文がブラウザの外に出ることなく暗号化・アップロード・復号が完結し、復号権をウォレットの所有権に集約したことで、将来的に復号権をNFT化したデータ共有の基盤にもなり得ます。
また、「LINE履歴の分析による人間関係円滑化支援システム」については専攻で制作した以下の概要の動画がありますので、ご覧ください。