Agentic Webを実現するためのA2A
Agentic Webを実現するためのA2A
従来の Web はブラウザが HTML + CSS + JavaScript を解釈して人間に向けて画面を生成しますが、近年、AIエージェントが人間とのインタフェースを担うようになると、Webブラウザを介さずに、AIエージェントがWebコンテンツを直接解釈して、ユーザのニーズにあわせて音声や画像で伝える世界が生まれようとしています。このトレンドをAgentic Webと呼んでいます。
つまり、Agentic Web では人間が HTML を見る代わりに AI エージェント が直接 JSON(と静的アセット)だけを受け取り、音声・チャット・AR・VRなどユーザに最適な形に再レンダリングします。
実は、このサイト自身もヘッドレスCMSと呼ばれる構造となっており、記事のコンテンツをHTMLではなく、AIエージェントが読みやすいJSONフォーマットで、 https://web.fujimura.com/posts.json で配信しています。また、記事の更新もAIに手伝ってもらいやすいように、AI向けのマニュアルREADME.jsonも提供しています。
これまではユーザとコンテンツ提供者の間にWebブラウザが存在していたわけですが、ユーザ側のAIエージェントとコンテンツ提供者側のAIエージェントがお互いにJSON形式のデータをやり取りして、ユーザに情報を提供するというわけです。
この形態では、通知方法についても、よりリアルタイムにAIエージェントに通知できるのがメリットです。人間への通知では、お風呂や睡眠中では対応できませんが、AIエージェントが代行して対応してもらえるようになるでしょう。
このようなAIエージェント同士の通信プロトコルについては、現在Linux FoundationがA2Aとよぶプロトコルの標準化を進めています。
A2Aでは、Agent CardというAgentが提供する機能を表現する形式を仕様化し、さらに、SSE Stream, Webhook Push, Event Bus Bridgeとよぶ3つのチャンネルでA2A同士がリアルタイムで連携する通知の手段が検討されています。
A2A標準化の最新動向
| 日付 | 進捗 |
|---|---|
| 2025-03 | Google が A2A を OSS 化し、Linux Foundation でホスト (linuxfoundation.org, Google Developers Blog) |
| 2025-06 | A2A v1 β公開。SSE/Webhook/JSON-RPC 2.0 をコア仕様に明記 (linuxfoundation.org) |
| 2025-Q4 予定 | CloudEvents マッピング & gRPC streaming 拡張ドラフト提出 |
A2A は "運搬方式を固定しすぎない" 方針で、ペイロードは基本 JSON、拡張で Protobuf/MsgPack も negotiable です。セキュリティ層は OAuth2/mTLS/DIDComm v2 を選択制。(Google Cloud Community)
通知機能
A2Aが規定しているリアルタイムの通信では、以下のようにコンテンツ提供者がユーザ側エージェントに対して以下のようなデータをイベントとして通知できる仕様が検討されています。
コンテンツ提供者側エージェント
// CloudEvents 形式の change feed 例
{
"specversion":"1.0",
"type":"ai.a2a.content.created",
"source":"https://web.fujimura.com",
"subject":"posts/2025-07-15-agentic-web",
"time":"2025-07-15T09:00:00Z",
"datacontenttype":"application/json",
"data":{
"url":"/posts/2025-07-15-agentic-web",
"revision":1
}
}
- posts.json の一覧エンドポイントに加えて
/eventsを用意し、CloudEvents を SSE/Webhook で配信。 - 必要に応じてJSON Web Token(JWT) or mTLS で正当な購読者を検証。
- HTML の生成は省き、フロントが必要なら静的生成ツールで後段対応。
ユーザ側エージェント
Capabilities 宣言
{ "capabilities":{ "streaming":true,"pushNotifications":true } }
- 通知を受けたら
GET /posts/{slug}.jsonで本文を Pull → 人間向けチャット or 音声 TTS に変換。 - キャッシュ整合を保つため
ETag/Last-Modifiedを利用する。
まとめ
- HTML 主体の Web から JSON 主体の Agentic Web へ移行が始まった。
- A2A プロトコルは通知メカニズムとして SSE・Webhook・CloudEvents を定義しオープン標準化が進行中。
- 本記事も
posts.jsonで既に配信中。エージェントから直接購読すればブラウザ不要で読める。 - 今から 構造化 API・通知エンドポイント・セキュア証明 を整えておくことで、次世代 Web へのスムーズな橋渡しができる。
未来のユーザー体験は「どの画面で見るか」ではなく「どのエージェントがどう見せてくれるか」で決まります。開発者は JSON と通知チャネルを整え、エージェントが活用しやすい情報を提供しましょう。これはSEO (Search Engine Optimization)からAAO (AI Agent Optimization)へのシフトと呼べるものですね。